Lee Rocker 「Lee Rocker's Big Blue」

Lee Rocker's Big Blue ジャケット

BLACK TOP RECORDS / CD BT-1105


  歴史は繰り返す。ベース奏者/歌手のリー・ロッカーの場合、ビッグ・ブルーというグループは彼の多面的な経歴にインスピレーションを与えた音楽への満足のいく回帰となっている。「ブルースは僕が最初に大好きになった音楽なんだ。」と、学生時代に組んでいたいくつかのセミプロ・ブルース・バンドでの活動を引用してロッカーは説明する。「僕はいつでもブルースに夢中だった。ブルースは僕が唄うのに最も適しているし、気持ちよくプレイできるんだ。」

  事実、彼がもう一つのバンド、ストレイ・キャッツによって提示されたブルースとヒルビリーの合わさった音楽が、世界の卓越したロカビリーと考えられていることに気づいたのもブルースというジャンルを通してだった。

  ロッカーと2人の幼馴染みは1979年にストレイ・キャッツを結成し、ニューヨークを拠点に活動を始め、まずヨーロッパと日本をその熱狂的なパフォーマンスで手中に収め、アメリカに凱旋し、1980年代中頃に数々の世界的名声を勝ち得た。ストレイ・キャッツのカリスマ・ベース・プレイヤーとして、ロッカーは力強いリズム・プレイと幅広いバッキング・ボーカルを披露し、今やクラシックとなったいくつかの曲を書いた。

  1985年にロッカーはストレイ・キャッツのドラマー、スリム・ジム・ファントムとギタリストのアール・スリックと共にブルース色の濃いロック・バンドを結成する機会を持った。ファントム・ロッカー&スリックとして2枚のアルバムを発表し、ジョージ・ハリスン、エリック・クラプトン他著名ロック・ミュージシャン達と共にカール・パーキンスのトリビュート番組への出演など多くのプロジェクトに参加した後、1988年にストレイ・キャッツに返り咲いた。

  1992年の後半、ストレイ・キャッツの活動休止期間中にロッカーはビッグ・ブルーを結成し、ついに長い間温めてきたブルースへの情熱を表現できる機会を得た。彼はカリフォルニアの一流ミュージシャンの中から信頼出来るギタリスト、マイク・エルドレッドと素晴らしいドラマー、ヘンリー・デボウンを引き入れた。2人ともカリフォルニアのブルース界では尊敬すべきベテランである。公式デビューは1992年の大晦日で、彼らがクラブでのパフォーマンスで大成功を納めたそのほんの数ヶ月後にポール・ロジャースのツアーに同行することになった。

  デビュー・アルバムのために、彼らはブルース発祥の地、テネシー州メンフィスのある南部に思いを馳せた。ウィリー・ディクソン、マディー・ウォーターズ、サニー・ボーイ・ウィリアムスン達からTボーン・ウォーカー、バディー・ガイ、アルバート・コリンズ、ジミー・リード達まで、広く様々なブルース・ミュージシャン達への愛情によって動かされ、彼らは様々なブルース・スタイルで多くのオリジナル曲を作っていった。名高いメンフィス・ホーンズは迫力あるグルーブとメリハリをつけるのに一役買っている。そして25年もの間半引退状態だったエルヴィス・プレスリーのギタリスト、ロックンロールの偉人スコッティー・ムーアが2曲に参加している。

  リー・ロッカー&ビッグ・ブルーの風雲急を告げるサウンドは、メンバーが培ってきた音楽的素養に対する満足をみたすものであり、その喜びは共有される。

  「ブルースっていうのは何とも精神的な音楽なんだよ。」とエルドレッドは言う。「今までブルースを聴いたことがない人がこのアルバムを聴いたら、それがブルースへの入り口になるだろう。それが僕たちのブルースであるか、他のミュージシャンのものであるかには関係なくね。」

  彼に加えて、ロッカーもブルースを演奏するのは故郷に帰るようなものだという点で一致している。「僕はこれまで様々なルーツ・ミュージックを演奏してきた。そしてブルースは常に最愛の存在だった。元々いた所に戻ってきたようなものさ。」



Back  Home