ロカビリーのココが嫌い!

  のっけからすごいタイトルでゴメンなさい(笑)。僕が嫌いなのは音楽自体ではなく、ロカビリーの「パブリック・イメージ」なんです。これがバンドやってた当時からいやでいやで・・・。さあ、ありったけ書いて気を静めよう!


1.リーゼント

  ロックンローラー、ロカビリアンの命ともいえるリーゼント。僕も中学生時分、横浜銀蝿にかぶれてた頃はリーゼントしてました。僕はクセ毛なので、ノンパーマで「湘南爆走族」の江口洋助みたいなリーゼントができていました。色は紫じゃないですよ!(笑)

  ロカビリー・バンドを始めた当初のライブでは一生懸命リーゼントを作ってたもんですが、「なんでロカビリーだというだけで、リーゼントしなくちゃならないんだ?」という疑念にかられ、その年末にあった3本のライブのうち、2本はリーゼントをせず、帽子をかぶってやりました。フレンジーのスティーブ・ホワイトハウスだって帽子かぶってるじゃないか!リーゼントできなくなったからだけど・・・。僕はまだまだ大丈夫です!


2.ファッション

  髪型以外のファッションについてですが、ボーリングシャツ、ロカパン、ロカジャケ、ラバーソール、エドワーディアン・ジャケット。STRAY CATSというよりMAGICの影響大のファッションしてるヤツがいっぱいいました。僕にはそのことが大変没個性のように感じられました。「みんな自分の個性を主張してると思ってるけど、まるでロカビリーの制服を着てるみたい!」案の定、ファッションから入っていった連中は早々にロカビリーを捨て、チョッパー・オートバイを乗り回すバイカーになっていきました。

  僕はどうだったかといえば、BRIAN SETZERのファッションを真似していた時期もありましたが、今のバンドで着ている服装、黒ジャケ、黒ズボン、トンガリ靴を基調にバリエーションを加えていました。当時からパンクも大好きだったので、できるだけパンクっぽいイメージを出そうと努力しました。

  1回だけライダース・ジャケットを着てやったことがありました。しかも8月。3曲ほどで脱ぎました。やっぱり暑いんだもん。レストレスが来日した時、そのファッション(競輪選手のような格好)に異論を唱える人もいたと思いますが、「だってステージは暑いんだぜ。皮ジャンなんか着てられないよ。」というメンバーの発言にも頷けます。それを思うとギター・ウルフは凄い!皮ジャンは彼らの身体の一部なんでしょうね。


3.ライブイベント

  僕がバンドメンバーとして出演したロカイベントは、地元で行われたものが2回あるのみなのですが、これがひどかった。出てくるバンドがみんな課題曲のように同じ曲ばかり演奏し、バンドとバンドのインターバルには毎回STRAY CATSの「ORIGINAL COOL」が流される。おいおい、そりゃないよ。

  当時クラブ・カルチャーに興味を持っていた僕は、伝説の「KRAZY BEAT」に触発されクラブ・イベントを開催したいと思い立ち、仲間達に集まってもらい趣旨を説明したのですが、誰も理解してくれず寂しい思いをしました。あげくの果てには、「ねるとんパーティーやろう!」などと言う奴が出てくる始末。まあ、当時僕の地元には酒が飲めてライブもできる、なんて都合のいい場所はなかったんですけどね。


4.曲・サウンド

  イベントに出演するどのバンドからも「SUMMERTIME BLUES」、「OH! BOY」、「I FOUGHT THE LAW」などを聴かされる。似たようなバンドばっかりで、「ロカビリー・バンド」というよりは「STRAY CATSのコピー・バンド」という感じ。今はそういったことはあまりないのでしょうが、当時は個性的なバンドが少なかった。それに加えて音楽経験の少ない連中が作った急造バンドだから、演奏は言わずもがな。みんな多分「シンプル=簡単」だと勘違いしてたんだろうな。僕みたいに(笑)。

  「ロックンロールに理屈はいらない!」とか「熱いハートがあればいい!」なんてよく耳にしますけど、アマチュアとはいえ人前で、しかも金とってやってるんだから、もうちょっと頑張ってくれればいいのにな、と思いました。ライブは単なる発表会じゃないんだから・・・。


  とまあ、今まで読んでいただいて分かると思いますが、僕はステレオ・タイプのロカビリーをやることを嫌っていました。僕が嫌っていたロカビリー・ファッションも、ロカビリーの重要な側面ではあるので全面的に否定はできないのですが、まあこういう奴もいるってことでご勘弁下さい。


Home